取材・文:EatMedia編集部
清掃・衛生管理は飲食店の生命線。保健所の立ち入り検査に備え、顧客に安心して食事を楽しんでもらうための実践的な管理方法を解説します。
はじめに
飲食店にとって、清掃と衛生管理は最も重要な業務の一つです。一度の食中毒事故で、長年積み上げた信頼が崩れることもあります。
2021年からはHACCPに沿った衛生管理が義務化され、より厳格な対応が求められています。本記事では、日々の清掃から衛生管理の仕組みづくりまで、実践的な方法をお伝えします。
基本1:日次清掃のチェックリスト
営業前の清掃(30分)
客席エリア
- テーブルの拭き上げ(消毒液使用)
- 椅子の汚れチェック
- 床のモップがけ
- 窓ガラスの拭き掃除
- メニュー表の除菌
- トイレの清掃と消耗品補充
厨房エリア
- 調理台の除菌
- コンロ周りの油汚れ除去
- 冷蔵庫の温度チェック
- 食材の鮮度確認
- ゴミ箱の清掃
営業中の清掃
タイミング別の清掃タスク: |
営業後の清掃(60分)
優先度高
- 調理器具の洗浄・消毒
- シンクの洗浄
- 床全体のモップがけ
- ゴミの分別と廃棄
- まな板・包丁の除菌
優先度中
- 冷蔵庫内の整理
- グリストラップの清掃(週1回以上)
- 換気扇フィルターの油取り
優先度低(週次でOK)
- 棚の拭き掃除
- エアコンフィルターの清掃
- 窓サッシの掃除
基本2:温度管理の徹底
冷蔵・冷凍庫の温度基準
| 設備 | 適正温度 | チェック頻度 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 10℃以下(推奨5℃以下) | 1日2回 |
| 冷凍庫 | -15℃以下(推奨-18℃以下) | 1日2回 |
| 温蔵庫 | 65℃以上 | 1日2回 |
温度記録表の付け方
【冷蔵庫温度記録】2025年12月18日 |
基本3:食材の保存管理
先入れ先出し(FIFO)の徹底
NG:新しい食材を手前に置く |
食材別の保存方法
肉・魚類
- 購入日をラベル貼付
- チルド室で保存(0〜3℃)
- 使用期限を厳守
野菜類
- 泥付きは洗ってから保存
- 野菜室で保存(5〜10℃)
- カット野菜は当日中に使用
調味料
- 開封日を記入
- 開封後は冷蔵保存(要冷蔵のもの)
- 賞味期限の目視確認
基本4:HACCPに沿った衛生管理
HACCPとは
Hazard Analysis and Critical Control Point |
小規模飲食店向け「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」
実施すべきこと
- 衛生管理計画の策定
- 計画に基づく実施
- 記録の保管
衛生管理計画の例
【一般的衛生管理】 |
基本5:従業員の衛生管理
手洗いのタイミング
必ず手洗いが必要な場面: |
正しい手洗いの方法
1. 水で手を濡らす |
身だしなみチェックリスト
厨房スタッフ
- 帽子・三角巾の着用
- 爪は短く切っている
- マニキュア・指輪なし
- 清潔な白衣・エプロン
- マスクの着用(必要時)
ホールスタッフ
- 清潔な制服
- 髪をまとめている
- 香水は控えめ
- 清潔感のある身だしなみ
週次・月次の清掃
週1回の清掃タスク
月曜日
- グリストラップの清掃
- 冷蔵庫内の整理
水曜日
- 換気扇フィルターの清掃
- 棚の拭き掃除
金曜日
- エアコンフィルター清掃
- 窓ガラス全面清掃
月1回の清掃タスク
毎月1日: |
保健所の立ち入り検査対策
保健所がチェックする主なポイント
設備関連
- 手洗い設備(温水・石鹸・ペーパータオル)
- 冷蔵・冷凍庫の温度管理
- 食器の保管(蓋付き戸棚)
- まな板の使い分け(生食用・加熱用)
記録関連
- 温度記録表
- 清掃チェック表
- 従業員の健康管理表
- 食材の仕入れ記録
その他
- 食品衛生責任者の設置
- 営業許可証の掲示
- 賞味期限切れ食材の有無
指摘されやすいポイント
よくある指摘事項: |
衛生管理の記録フォーマット
日次チェック表の例
【日次衛生管理チェック表】 |
食中毒を防ぐ3原則
1. つけない(清潔・洗浄)
・こまめな手洗い |
2. 増やさない(迅速・冷却)
・調理後は速やかに提供 |
3. やっつける(加熱・殺菌)
・中心温度75℃、1分以上 |
清掃に使う道具と洗剤
必須の清掃用具
| 用途 | 道具 | 交換頻度 |
|---|---|---|
| 床掃除 | モップ | 週1回洗濯 |
| テーブル | 除菌クロス | 1日1枚 |
| 厨房 | スポンジ(色分け) | 週1回交換 |
| トイレ | 専用ブラシ | 月1回交換 |
洗剤の使い分け
【中性洗剤】 |
清掃・衛生管理は「習慣」が全てです。
チェックリストを活用し、毎日コツコツと積み重ねることで、安心・安全な店舗運営が実現できます。スタッフ全員で衛生意識を高め、お客様に信頼される店づくりを目指しましょう。




