取材・文:EatMedia編集部
クラフトビールからクラフトコーラまで、こだわりのドリンクが人気です。ドリンクの差別化で客単価を上げる方法を、成功事例とともに解説します。
クラフト系ドリンクとは
大量生産ではなく、小規模で丁寧に作られる「こだわりの飲み物」。
代表的なクラフト系:
- クラフトビール
- クラフトコーラ
- クラフトジン
- スペシャルティコーヒー
- 自家製レモネード
- ボタニカルソーダ
「クラフトビールを5種類揃えたら、ビール注文率が80%になりました」(渋谷・ダイニングバー店長)
なぜ今、クラフト系が伸びているのか
1. 個性と差別化の時代
「どこでも飲める」ではなく、「ここでしか飲めない」が価値に。
消費者心理:
- 特別感を求める
- SNSでシェアしたい
- 体験にお金を払う意識
2. 高単価でも納得感
ストーリーや製法を知ることで、価格に納得。
価格比較:
- 大手ビール:500円
- クラフトビール:800〜1,200円
差額300〜700円でも、納得して注文されます。
3. コロナ後の「ちょっと贅沢」需要
外食の頻度が減った分、1回あたりの質を重視。
4. 地産地消・地域応援の意識
地元ブルワリーやロースタリーを応援する動き。
カテゴリー別のトレンド
クラフトビール
市場規模:
2025年で約1,200億円(2020年比2倍)
人気のスタイル:
| スタイル | 特徴 | 人気度 |
|---|---|---|
| IPA(インディアペールエール) | ホップの香り、苦味 | ★★★★★ |
| ヴァイツェン | フルーティ、飲みやすい | ★★★★ |
| スタウト | 黒色、ローストの香り | ★★★ |
| セゾン | スパイシー、軽やか | ★★★ |
| サワーエール | 酸味、フルーツ系 | ★★★★ |
導入のポイント:
- 地元ブルワリーと連携
- 3〜5種類をラインナップ
- 飲み比べセット(3種×120ml)を提供
- ストーリーを説明できるスタッフ教育
原価率:
40〜50%(通常ビールは30〜40%だが、単価が高いため粗利は確保できる)
クラフトコーラ
急成長中の新ジャンル:
天然素材のみで作る、添加物なしのコーラ。
特徴:
- スパイス(シナモン・カルダモン・クローブ)
- 柑橘系の爽やかさ
- 砂糖ではなくアガベシロップなど
- 瓶入りでおしゃれ
価格帯:
600〜900円(通常コーラ:300円)
活用法:
- ノンアルコール客への提案
- カクテルのベースに
- デザートとのペアリング
導入コスト:
1本500円前後(卸値)、販売価格800円で粗利300円
クラフトジン・ウイスキー
ジャパニーズクラフトの台頭:
国産のジン・ウイスキーが海外でも高評価。
人気銘柄:
- ROKU(ジン)
- 季の美(ジン)
- 厚岸ウイスキー
- イチローズモルト
提供方法:
- ジントニック:800〜1,200円
- ハイボール:700〜1,000円
- ストレート・ロック:1,200〜2,000円
差別化ポイント:
- トニックウォーターもプレミアム品(フィーバーツリーなど)
- ガーニッシュ(添える果物やハーブ)にこだわる
- グラスを冷やす演出
スペシャルティコーヒー
定義:
COE(カップ・オブ・エクセレンス)などの品評会で高評価を得た豆。
価格:
- 通常コーヒー:400円
- スペシャルティ:600〜900円
アピールポイント:
- 産地・農園を明記
- ハンドドリップで丁寧に淹れる
- 「今月のコーヒー」で変化をつける
導入のハードル:
低い。豆を変えるだけで対応可能。
自家製ドリンク
手作りの価値:
「お店で作っている」ことが特別感に。
人気メニュー:
- 自家製レモネード(レモン・砂糖・水)
- ジンジャーエール(生姜シロップ)
- フルーツビネガーソーダ
- ハーブティー(ドライハーブから)
メリット:
- 原価率が低い(20〜30%)
- 差別化しやすい
- SNS映えする
- レシピ次第で無限のバリエーション
レシピ例(レモネード):
材料:レモン5個、砂糖100g、水500ml、炭酸水 |
業態別の導入戦略
居酒屋・ダイニングバー
戦略:
クラフトビールをフックに集客。
メニュー構成:
- 大手ビール:500円(入門編)
- クラフトビール:800〜1,200円(3〜5種類)
- 飲み比べセット:1,500円(人気No.1)
効果:
- ビール注文率UP
- 滞在時間が長くなる(飲み比べで会話が生まれる)
- 客単価+800円
カフェ
戦略:
スペシャルティコーヒーでブランディング。
差別化:
- 焙煎度合いを選べる
- 産地ごとの飲み比べ
- ラテアートのクオリティ
客層の変化:
「カフェ巡り」が趣味の層を獲得。
バー
戦略:
クラフトジンやプレミアムスピリッツに特化。
客単価:
- 通常バー:3,000円
- クラフト特化:5,000〜8,000円
メニューの見せ方:
- 産地や蒸留所のストーリーを記載
- ボタニカル(原料植物)の説明
- おすすめの飲み方提案
レストラン
戦略:
料理とのペアリングで付加価値。
提案例:
- 「このパスタには、この白ワイン」
- 「デザートとクラフトコーラの相性◎」
- 「肉料理とIPAの苦味がマッチ」
ペアリングコース:
料理5品+ドリンク5杯 = 8,000円(通常より+2,000円)
導入の具体的ステップ
ステップ1:市場調査
競合店の状況を確認。
チェック項目:
- 近隣でクラフト系を扱う店は?
- どんなドリンクが人気?
- 価格帯は?
ステップ2:仕入れ先の開拓
クラフトビール:
- 地元ブルワリーに直接交渉
- 専門卸業者(ナガノトレーディングなど)
- 通販(Amazonビジネス)
クラフトコーラ:
- ともコーラ、伊良コーラ(代表ブランド)
- KALDI、成城石井
スペシャルティコーヒー:
- 地元のロースタリー
- オンライン専門店(スペシャルティコーヒー協会加盟店)
ステップ3:メニュー設計
価格設定の考え方:
原価率50%でも、粗利額で判断 |
ラインナップの組み方:
- 入門編(飲みやすい):1〜2種類
- 中級編(特徴的):2〜3種類
- 上級編(マニア向け):1種類
ステップ4:スタッフ教育
最低限の知識:
- 各ドリンクの特徴(3つずつ)
- おすすめの飲み方
- 料理との相性
- 産地や製法のストーリー
トレーニング方法:
- 実際に試飲して味を覚える
- 勉強会を月1回開催
- メーカーによる出張セミナー
ステップ5:プロモーション
店内:
- メニューに写真とストーリー
- テーブルPOP
- 「今月のおすすめ」ボード
SNS:
- Instagram投稿(#クラフトビール #スペシャルティコーヒー)
- ストーリーズで「入荷しました」
- リール動画で注ぐシーンを撮影
口コミサイト:
- 食べログの「こだわり」欄に記載
- Googleマップのメニュー写真にアップ
成功事例
事例1:東京・目黒のダイニングバー
施策:
- クラフトビール10種類常備
- 毎月1種類を入れ替え
- ビアマイスター資格者がいることをアピール
結果:
- ビール売上が全体の45%に
- 客単価が3,500円→4,800円
- リピート率75%
事例2:京都のカフェ
施策:
- 自家焙煎のスペシャルティコーヒー
- 豆の販売も開始
- ラテアート世界大会出場者が在籍
結果:
- コーヒー単価が400円→750円
- 物販売上が全体の15%
- メディア露出20回
事例3:大阪の居酒屋
施策:
- 自家製レモネード・ジンジャーエール
- ノンアルコールカクテルを5種類
- 「飲まない人も楽しめる店」として差別化
結果:
- 女性客比率が30%→55%
- ノンアル売上が全体の20%
- ファミリー層の来店増
よくある失敗と対策
失敗1:在庫が売れ残る
原因:
種類を増やしすぎ、回転が悪い
対策:
- 少数精鋭(3〜5種類)
- 瓶ビールなら賞味期限長い
- 人気商品に絞る
失敗2:スタッフが説明できない
原因:
教育不足
対策:
- まず自分(オーナー)が飲んで理解
- 簡単なカンペを用意
- 「僕も勉強中ですが」と正直に言う
失敗3:価格が高すぎて注文されない
原因:
市場感覚とズレ
対策:
- 競合の価格調査
- 段階的な価格設定(入門編は手頃に)
- 価値を伝える努力
まとめ
クラフト系ドリンクは「攻めの投資」。
導入すべき理由:
- 客単価UP - +500〜1,000円見込める
- 差別化 - 「あの店のあれが飲みたい」
- 粗利率 - 原価率50%でも粗利額は大きい
- 話題性 - SNS・口コミで拡散
成功のポイント:
- まずは1〜2種類から始める
- スタッフが自信を持って説明できるように
- ストーリーを大切に
「いつもの」ではなく「特別な」ドリンクで、お客様の満足度を高めましょう。
取材協力:日本クラフトビール協会




