飲食店の食材ロス削減テクニック|原価率改善と環境配慮を両立する方法

飲食店の食材ロス削減テクニック|原価率改善と環境配慮を両立する方法

取材・文:EatMedia編集部

食材ロスは飲食店にとって大きな課題。廃棄を減らすことで利益率を改善し、環境にも貢献できる実践的なテクニックを解説します。

はじめに

日本では年間約600万トンの食品ロスが発生し、その約半分は飲食店や食品事業者から出ています。

食材ロスは原価を圧迫するだけでなく、環境問題にもつながります。本記事では、ロスを削減して利益率を改善する具体的な方法をお伝えします。

テクニック1:適正な発注量の見極め

データに基づく発注管理

感覚ではなくデータで判断

NG:「いつもこのくらい注文している」
OK:「先週の使用実績から計算する」

曜日別の使用量を記録

食材
鶏肉(kg)32.532.5565
レタス(玉)54548108

このデータをもとに発注量を決定します。

発注の適正タイミング

【日持ちする食材】
・週1〜2回まとめて発注
・冷凍保存で長期保管

【鮮度が重要な食材】
・使い切れる量を小まめに発注
・2〜3日ごとに発注

テクニック2:在庫管理の徹底

先入れ先出し(FIFO)の実践

冷蔵庫の配置を工夫しましょう。

【冷蔵庫の配置ルール】
奥:新しい食材(発注日が新しい)
手前:古い食材(賞味期限が近い)

→ 自然と古いものから使う仕組み

ラベリングの徹底

最低限記載すべき情報

  • 食材名
  • 入荷日
  • 使用期限(消費期限/賞味期限)
  • 担当者名
例:
鶏もも肉
入荷:12/18
期限:12/20
担当:田中

定期的な在庫チェック

【毎日】閉店後
・冷蔵庫内の食材チェック
・期限が近いものをリスト化

【週1回】定休日
・全在庫の棚卸し
・デッドストックの確認

テクニック3:メニュー設計でロスを減らす

共通食材を使ったメニュー構成

同じ食材を複数のメニューで使うことで、在庫リスクを分散。

良い例:トマトを使ったメニュー

・カプレーゼ(生トマト)
・トマトパスタ(トマトソース)
・ピザマルゲリータ(トマトソース)
・ミネストローネ(角切りトマト)

→ トマトが余っても別の形で消費できる

日替わりメニューで在庫消化

★本日のおすすめ★
「鶏肉のトマト煮込み」

→ 期限が近い鶏肉とトマトを
日替わりメニューで消化

まかないで在庫消費

スタッフのまかないは、在庫消化の絶好の機会です。

まかないルール:
・期限が近い食材を優先使用
・廃棄予定の食材を活用
・新しいメニュー開発の実験場に

テクニック4:調理工程でのロス削減

野菜の皮や端材の活用

捨てずに活用できる部分

【大根】
・葉:味噌汁の具、炒め物
・皮:きんぴら、漬物

【玉ねぎ】
・皮:スープの出汁
・端材:ミキサーでペースト化

【人参】
・皮:かき揚げ、スープ

【鶏肉】
・骨:スープストック
・皮:カリカリ焼きに

カット野菜の冷凍保存

余った野菜は小分けして冷凍保存

【冷凍向き野菜】
・きのこ類(使いやすく切って冷凍)
・ネギ(小口切りで冷凍)
・トマト(ざく切りで冷凍)
・ピーマン(千切りで冷凍)

計量の正確化

目分量をやめて、レシピ通りの分量を守ることでロスを減らせます。

NG:「適量」「少々」
OK:「50g」「小さじ1」

→ 標準化することで
余剰食材の発生を防ぐ

テクニック5:提供方法の工夫

ハーフサイズメニューの導入

通常サイズ:1,200円
ハーフサイズ:800円

→ 少食のお客様に対応
→ 食べ残しを減らせる
→ 客単価アップにも貢献

持ち帰り対応

「お持ち帰りいただけますか?」

※食中毒のリスクを説明した上で
お客様の判断で持ち帰ってもらう

ご飯の量を選べるシステム

【ランチ定食】
・大盛り:無料
・普通盛り
・小盛り:50円引き

→ 食べ残しを防ぐ

食材ロスの数値管理

ロス率の計算方法

ロス率 = 廃棄額 ÷ 仕入額 × 100

例:
月間仕入額:100万円
月間廃棄額:5万円

ロス率 = 5万円 ÷ 100万円 × 100 = 5%

目標ロス率

業態目標ロス率
カフェ2%以下
居酒屋3%以下
イタリアン4%以下
和食3%以下

廃棄記録の付け方

【廃棄記録】2025年12月18日

品名:鶏もも肉
数量:500g
金額:800円
理由:期限切れ
担当:田中

→ 毎日記録して週次で分析

フードロス削減アプリの活用

TABETE(タベテ)

閉店間際の商品を割引価格で販売できるアプリ。

特徴

  • 飲食店が余剰食品を登録
  • ユーザーが割引価格で購入
  • 廃棄削減+売上確保

Reduce GO(リデュースゴー)

月額制で余剰食品を持ち帰れるサブスクサービス。

特徴

  • 店舗は無料で登録可能
  • 廃棄予定の食品を提供
  • 新規顧客の獲得にも

ロス削減の成功事例

事例1:イタリアンレストラン

Before

  • 月間ロス率:8%
  • 主な廃棄:パスタ、野菜

改善策

  1. 日替わりパスタで在庫消化
  2. 野菜の発注を週2回に変更
  3. 冷凍保存の活用

After

  • 月間ロス率:3%に改善
  • 原価率が5%改善

事例2:居酒屋

Before

  • 月間ロス率:10%
  • 主な廃棄:刺身、野菜

改善策

  1. 刺身の仕入れを前日予約制に
  2. 在庫管理アプリ導入
  3. まかないで積極消費

After

  • 月間ロス率:4%に改善
  • 月間10万円のコスト削減

ロス削減のチェックリスト

発注段階

  • データに基づく発注量の決定
  • 賞味期限の長い商品を選択
  • 小ロット発注の検討

在庫管理

  • 先入れ先出しの徹底
  • ラベリングの実施
  • 定期的な在庫チェック

調理段階

  • 計量の正確化
  • 端材の活用
  • 冷凍保存の活用

提供段階

  • ハーフサイズの設定
  • ご飯の量を選べる
  • 持ち帰り対応

記録管理

  • 廃棄記録の作成
  • ロス率の計算
  • 原因分析と改善

スタッフへの意識付け

ロス削減ミーティング

週1回、5分間のミーティング

【共有内容】
・今週のロス率
・主な廃棄品目
・改善アイデアの募集
・成功事例の共有

インセンティブ制度

★ロス削減インセンティブ★

目標ロス率3%を達成したら
全スタッフに5,000円ボーナス

→ チーム全体で意識を高める

環境への配慮とSDGs

食材ロス削減は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献します。

関連するSDGs

  • 目標2:飢餓をゼロに
  • 目標12:つくる責任 つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

PR効果

店内POP例:
「当店では食材ロス削減に取り組んでいます。
環境に配慮した店舗運営を目指しています」

→ 環境意識の高い顧客に響く

食材ロス削減は、利益率改善と環境配慮の両立です。

小さな工夫の積み重ねが、大きなコスト削減につながります。まずはロス率を計測することから始めて、データに基づいた改善を進めましょう。

この記事を書いた人 EatMedia編集部