取材・文:EatMedia編集部
食材ロスは飲食店にとって大きな課題。廃棄を減らすことで利益率を改善し、環境にも貢献できる実践的なテクニックを解説します。
はじめに
日本では年間約600万トンの食品ロスが発生し、その約半分は飲食店や食品事業者から出ています。
食材ロスは原価を圧迫するだけでなく、環境問題にもつながります。本記事では、ロスを削減して利益率を改善する具体的な方法をお伝えします。
テクニック1:適正な発注量の見極め
データに基づく発注管理
感覚ではなくデータで判断
NG:「いつもこのくらい注文している」 |
曜日別の使用量を記録
| 食材 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 鶏肉(kg) | 3 | 2.5 | 3 | 2.5 | 5 | 6 | 5 |
| レタス(玉) | 5 | 4 | 5 | 4 | 8 | 10 | 8 |
このデータをもとに発注量を決定します。
発注の適正タイミング
【日持ちする食材】 |
テクニック2:在庫管理の徹底
先入れ先出し(FIFO)の実践
冷蔵庫の配置を工夫しましょう。
【冷蔵庫の配置ルール】 |
ラベリングの徹底
最低限記載すべき情報
- 食材名
- 入荷日
- 使用期限(消費期限/賞味期限)
- 担当者名
例: |
定期的な在庫チェック
【毎日】閉店後 |
テクニック3:メニュー設計でロスを減らす
共通食材を使ったメニュー構成
同じ食材を複数のメニューで使うことで、在庫リスクを分散。
良い例:トマトを使ったメニュー
・カプレーゼ(生トマト) |
日替わりメニューで在庫消化
★本日のおすすめ★ |
まかないで在庫消費
スタッフのまかないは、在庫消化の絶好の機会です。
まかないルール: |
テクニック4:調理工程でのロス削減
野菜の皮や端材の活用
捨てずに活用できる部分
【大根】 |
カット野菜の冷凍保存
余った野菜は小分けして冷凍保存 |
計量の正確化
目分量をやめて、レシピ通りの分量を守ることでロスを減らせます。
NG:「適量」「少々」 |
テクニック5:提供方法の工夫
ハーフサイズメニューの導入
通常サイズ:1,200円 |
持ち帰り対応
「お持ち帰りいただけますか?」 |
ご飯の量を選べるシステム
【ランチ定食】 |
食材ロスの数値管理
ロス率の計算方法
ロス率 = 廃棄額 ÷ 仕入額 × 100 |
目標ロス率
| 業態 | 目標ロス率 |
|---|---|
| カフェ | 2%以下 |
| 居酒屋 | 3%以下 |
| イタリアン | 4%以下 |
| 和食 | 3%以下 |
廃棄記録の付け方
【廃棄記録】2025年12月18日 |
フードロス削減アプリの活用
TABETE(タベテ)
閉店間際の商品を割引価格で販売できるアプリ。
特徴
- 飲食店が余剰食品を登録
- ユーザーが割引価格で購入
- 廃棄削減+売上確保
Reduce GO(リデュースゴー)
月額制で余剰食品を持ち帰れるサブスクサービス。
特徴
- 店舗は無料で登録可能
- 廃棄予定の食品を提供
- 新規顧客の獲得にも
ロス削減の成功事例
事例1:イタリアンレストラン
Before
- 月間ロス率:8%
- 主な廃棄:パスタ、野菜
改善策
- 日替わりパスタで在庫消化
- 野菜の発注を週2回に変更
- 冷凍保存の活用
After
- 月間ロス率:3%に改善
- 原価率が5%改善
事例2:居酒屋
Before
- 月間ロス率:10%
- 主な廃棄:刺身、野菜
改善策
- 刺身の仕入れを前日予約制に
- 在庫管理アプリ導入
- まかないで積極消費
After
- 月間ロス率:4%に改善
- 月間10万円のコスト削減
ロス削減のチェックリスト
発注段階
- データに基づく発注量の決定
- 賞味期限の長い商品を選択
- 小ロット発注の検討
在庫管理
- 先入れ先出しの徹底
- ラベリングの実施
- 定期的な在庫チェック
調理段階
- 計量の正確化
- 端材の活用
- 冷凍保存の活用
提供段階
- ハーフサイズの設定
- ご飯の量を選べる
- 持ち帰り対応
記録管理
- 廃棄記録の作成
- ロス率の計算
- 原因分析と改善
スタッフへの意識付け
ロス削減ミーティング
週1回、5分間のミーティング |
インセンティブ制度
★ロス削減インセンティブ★ |
環境への配慮とSDGs
食材ロス削減は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献します。
関連するSDGs
- 目標2:飢餓をゼロに
- 目標12:つくる責任 つかう責任
- 目標13:気候変動に具体的な対策を
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食材ロス削減は、利益率改善と環境配慮の両立です。
小さな工夫の積み重ねが、大きなコスト削減につながります。まずはロス率を計測することから始めて、データに基づいた改善を進めましょう。




